エンジニアリングとお金の話

都内で働くエンジニアの日記です。

【読書】PRESIDENT6月号を読んで

【SPONSORED LINK】

毎月定期購読しているPRESIDENT。今月号の特集は「お金と数字」の小さな大疑問50 なぜ財布はすぐ軽くなるのか?その中で、行動経済学について面白い記事が書かれていたのでメモ。

 

1.アンカーリング

人間は知らず知らずのうちに、それまで頭の中にインプットされていた情報を頼りに決断しがちである。その様な、事前に刷り込まれた固定観念のことを行動経済学では「アンカーリング」と言う。アンカーは鉛の「錨」を意味し、存在的に意識の中に刷り込まれていた情報が錨のように重石となって思考や判断を束縛してしまうようなものと考える。

 

アンカーリングの例として以下の掛け算が挙げられる。

 

①1×2×3×4×5×6×7×8×9

②9×8×7×6×5×4×3×2×1

 

上記の計算を2つのグループに分けて制限時間5秒で計算をさせた。すると、①のグループは平均512、②のグループは平均2250と回答するらしい。この様に大きな開きが出るのは、最初に目に入った数字の大きさがアンカーとなってその後の推計に大きな影響を与えている為である。

 

実際の価格交渉では、このアンカーリングを逆手にとって優位に進める事が可能である。予め自分が想定していた売値よりも高い価格をふっかけて、相手が値引き要求してきたら、それに応じて値段を下げる。すると、最初の提示価格がアンカーとなって、相手は「負けさせることができた」と満足し、当初の想定価格を上回る水準で妥結する事が可能となる。

 

2.メンタル・アカウンティング

人はお金を使う際、自分の心の中の帳簿で計算をしながら行動を決めている。その帳簿の付け方は人によって異なる。行動経済学の世界では、私達の心のなかに一つひとつの行動から得られる損失や利益、コストなどを計算して、それぞれの帳簿につける「メンタル・アカウンティング(心理会計)」の仕組みが存在する。その仕組みを使って測った満足度の大小を判断基準に意思決定をしていると見ている。

 

夏の暑い日に150円のペットボトルを購入するかしないかの判断は、メンタル・アカウンティングの現金勘定を150円減らしてまでもペットボトルから得る事が出来る満足度(効用)を得たいか判断した結果と言える。商品購入による満足度(効用)は人によって価値の捉え方が異なる為、一見不可解に見える行動(ランチの100円は惜しむが何万円もする高級ブランドのバッグには出費は惜しまない)がその当人にとっては、決して矛盾した行動では無いと捉えられてしまうのである。

 

3.近視眼的損失回避行動

人間は予想していなかった事態が起こると、とっさに身近にあるリスクを避けてしまう。いまそのリスクをとっておけば、長期的には利益が生じると分かっていても、目先に損失を我慢できない。こうした事を行動経済学では、「近視眼的損失回避行動」と呼ぶ。

 

消費税議論も近視眼的損失回避行動の典型的な例と言える。いずれ上げなければいつか財政破綻と言う最悪な結果を招く恐れがある事は分かっているが、目先の利益に捕われて、ずるずると先延ばししてしまう。

 

近視眼的損失回避行動を防ぐ為には、何かの判断や意思決定を行う際は目先のリスクやコストに目をつぶるのではなく、長期的な利益を取る事が大切だと自分に言い聞かせながら物事を判断したり、意思決定していくように常に心がけていく事が大切である。

 

行動経済学を知ることは、日常生活を行う上でメリットがある事だと思う。仕事で優位に立つ為にも、また、行動経済学を適用してきた相手から身を守る為にも身に付けておきたい知識と言える。