図書館から借りてきた『ソロスは警告する』を読み終えた。難解な内容だったので、読み終えるのに1週間程掛かってしまった。
ジョージソロスは著名な投資家で、1992年にイングランド銀行を売り崩し莫大な利益を上げた事で有名である。彼が立ち上げたファンドは10年間で3,365%のリターンを出しており、投資収益で言うと世界第2位のお金持ちである、ウォーレンバフェットに続く利益を上げている。
ジョージソロスの投資に関する考え方についてだが、彼の哲学である『再帰性』が大きな判断材料となっている。再帰性とは、投資家と市場の関係はお互い関連し合っている為、投資家は市場の動向を正確に捉える事は出来ないという考え方である。具体的に言うと、投資家は市場を見て投資判断を下すが、その投資判断により市場は変動してしまう。投資家がどんなに市場を予想しても、自分の投資行動が市場に影響を与える限りは、市場を予想する事は出来ないという事である。
その為、「人は必ず間違える」がジョージソロスの投資の信条であると言える。世間がバブルに沸く頃に、市場のゆがみをいち早く察知し行動を起こしてきたことが彼の成功の秘訣と言える。経済学の根底は「人は常に合理的な行動を取る為、正しい判断を下す」であるが、経済学についてもソロスの前ではたわごとでしか無いと言う事である。
今まで読んだ投資の本の中で一番難しい本であった。読むのに時間が掛かるが、一流の投資家が考えに触れる事が出来る本と言える。投資の上級者にはぜひ読んで欲しいと思った一冊である。
- 作者: ジョージ・ソロス,松藤民輔(解説),徳川家広
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/09/02
- メディア: 単行本
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