図書館から借りてきた、毒舌訳哲学者の言葉を読んだ。著者は有吉弘行氏である。
- 作者: 有吉弘行
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2012/04/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ニーチェやソクラテス等の有名哲学者の言葉を有吉氏なりに解釈しており、彼独自の物の見方が存分に発揮された内容となっている。哲学者の言葉というのは意味が難解である為、ありがたい言葉と受け取りがちだが、受け取る人が変わるとこうも変わるのかという感じである。
本の構成としては、全部で8章にて構成されている。各章毎に『女』や『仕事』等のテーマが設定されているのだが、その中で第2章の『金』についてが感銘を受けた。その一部を紹介したい。
貨幣は私の力をあらわす(サルトル)
⇒世の中、金があれば強く生きられる(有吉氏)
仕事がまったくなかったどん底時代、猿岩石が売れた頃に貯めておいた貯金通帳の額が毎月減っていくのに比例して、僕自身もどんどん弱っていきました。ついには貯金が100万円を切ったとき、
「あ、これもう俺、いよいよホームレスだな」
そう思ったときの恐ろしさ、ありませんでした。金ないと人間ってとことん弱ります。
あのとき思いました。
「世の中、金がすべてだよな!」って。
金は肥やしのようなもので、散布しない場合は役に立たない(フランシス・ベーコン)
⇒金は散布せずに持ってる方が役に立つ(有吉氏)
金って心の余裕だと思うんですよ。やっぱ貯金通帳にいっぱいお金貯まって、それ見ながらニヤニヤしているほうが精神的な余裕は絶対できますから。
貯金通帳見ながら、「いつでも散布できるぞ!」って思ってるのが一番強いですよね。「いつでも金なんて撒けるぞ!」と思いながら、それでいて撒かないのが一番いい。「撒かずに今年も収穫できたな」っていうのがベストだと思います。
金はよい召使だが、場合によっては悪い主人でもある(フランシス・ベーコン)
⇒金の奴隷になることを恐れず(有吉氏)
拾った1万円も、汗水垂らして稼いだ1万円も、どっちも同じ1万円。頑張って稼いだ10万円も、パチンコで勝った10万円も、どっちも同じ10万円。稼いだ手段はどうでもよくて、1万円は1万円、10万円は10万円。目の前にある現実の金でしかない。
拾った金も、パチンコで勝った金も、誰かにもらった金も、一生懸命働いた金も、価値は同じ。
たとえどんなに悪い主人だろうが、金は金。僕はとことんついていきます。
有吉氏は一度芸能界から姿を消し、苦労した経験を持つだけにお金に関してはシビアな考えを持っており、何か物を買う時は、500円貯金で貯めて買う徹底振りである。
今では億単位の年収を稼ぐ程の売れっ子になった有吉氏だが、現状に驕る事無く堅実なお金の感覚を持っている事に感心した。
一度地獄を見た人の言葉は下手な哲学者より心に響くと感じた一冊だった。